ルイス・ウーストハイゼンとキャディのザック・ラセゴは共に南アフリカ出身。全英オープンの最終日、奇しくも反アパルトヘイトを訴えたネルソン・マンデラの誕生日に、白人の選手と黒人のキャディが最強のタッグを組み、18番のスウィルカン橋を渡る。今年の全英オープンを象徴するシーンでもありました。
そんなほのぼのとしたシーンとは対照的に、この2人、実は全英後には「決別」する予定だったそうなのです。

photo: zimbio.com
ウーストハイゼンは欧州ツアーでも優勝し、世界ランクも徐々に上ってきていました。ただ、次のステップには環境の変化が必要と判断したのでしょう。全英オープンウィークの月曜日、ウーストハイゼンはラセゴに大会終了後、「二人は別々の道を行こう」と言ったそうなのです。
「俺は与えられた職務をこなしていただけ。俺はキャディだ。これまでも、これからもキャディをしたいだけ」
とラセゴは二人の会話を振り返っています。
ラセゴがどういうキャディなのか・・・。とにかくゴルフ一筋、そしてバッグを担ぎたい思いが人一倍強いキャディ。幼少期は学校が終わると家に帰りバッグを置いて、バッグ一つ担ぐチャンスをもらうためにゲーリー・プレーヤー・カントリークラブまで10キロ以上歩いたのだとか。
「俺の日当はThree-fifty」
350ドルではなく、3ドル50。300円。
この熱意が周りを引きつけ、いずれ地元では誰もが信頼するキャディに。スティーブ・ストリッカーのバッグを長年担いでいるジミー・ジョンソンは、かつて南アフリカのツアーでプロとしてプレーしていたのですが、トッププレーヤーが欧州のビッグトーナメントに出場するために国を出て行った時にはラセゴにキャディを依頼していたのだとか。25年以上続いている友情。ウーストハイゼンがアメリカでプレーする際にラセゴを同行させなかった時、「ザックの面倒を見るのはジミーだった」とキャディ仲間。
今年の全英オープン優勝はウーストハイゼンの初メジャー制覇でもあり、ラセゴと彼を支えてきたキャディ仲間たちの勝利でもあったのです。
「結婚した日を除き、今日は人生で一番幸せな日だ」
と言ったのはウーストハイゼンでもウーストハイゼンの家族でもラセゴでもなく、ジョンソンだったのです。
18番グリーンに向かうウーストハイゼンとラセゴ。
二人は目を合わせ、ウーストハイゼンは
「お前はどこへも行かせないよ」
と言ったそうです。
全英優勝。何かの巡り合わせだったのかもしれませんね。
