米LPGAメジャーの第2戦「LPGAチャンピオンシップ」の初日。この日、11番ホールまで4アンダーでトップに立っていたのがこの日節目となる50歳の誕生日を迎えたジュリー・インクスター。後半に入るとティショットのミスから3連続ボギーなどを叩きスコアを落としましたが、それでも初日を1アンダー、11位タイで終えています。
LPGA通算31勝で既に殿堂入りを果たし、1999年、2000年にこの大会を連覇しているインクスター。50歳という大台に乗ってもまだまだ上位争いできる強さと「若さ」の秘訣をラウンド後に語っていました。

photo: zimbio.com
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司会:お誕生日おめでとうございます。
ジュリー・インクスター
「ありがとうございます」
Q:ラウンドを振り返っていただけますか?
ジュリー・インクスター
「すごく良いプレーができました。バックナインではティショットでミスがあってトラブルになってしまいました。風と雨も加わって、フェアウェイがとても狭く非常にタフな一日でした。距離があるからドライバーを振っていかなければならなかったのですが、概ねいいプレーができました。パッティングもよかったです。終わり方には不満ですが、それもティショットの乱れが原因でした」
Q:ギャラリーはあなたを後押ししていましたね。あれだけの大勢に応援されてどんな気分でした?
ジュリー・インクスター
「嬉しいの一言です。他の選手に悪いなと思うこともありますが、(同組の)ポーラ(クリーマー)と(申)智愛は気にする選手ではないし。私にとっては良いペアリングだったのかも。みなさんの愛情を感じることができて、嬉しかったです」
Q:50歳になって、素晴らしいゴルフをしている。これからのこと、出場試合、そしてあとどれだけプレーし続けるつもりですか?
ジュリー・インクスター
「良いプレーができていて、たまたま50歳になったというだけ。これはいつも聞かれることです。なんて答えていいか分からない。何か適切な回答があればいいんだけど、残念ながら無いんです。今の生活でこれ以上望むものありません。年間を通して16、17試合に出場して、残りはオフ。プレーし続けない理由がないのです。シニアツアーがあるわけではないし。ゴルフを愛しているんです。
「これまでと同じようにプレーができ、優勝争いもでき、良いショットを打ち続けることができれば、それでいいんです。年間MVPにも世界No.1にもなれないのは分かってる。でもね、このツアーには多くの友人がいるし、私はゴルフを愛しているんです。これはいつも聞かれることで、なんて答えていいか分からないんです。そうとしか言いようがないんです。私にとって、これは仕事ではないんです。他に何て答えればいいのか...」
Q:誕生日の予定は?ご家族は会場に来ているのですか?
ジュリー・インクスター
「いいえ、みんな帰りました。月曜日の夜にみんなで素敵な夕食会をしました。今夜は何も予定はありません。早く寝ようと思います。疲れました」
Q:お子様は何歳になったのですか?
ジュリー・インクスター
「20歳と16歳です」
Q:トム・ワトソンが昨年の全英オープンで活躍し、今年の全米でも予選を通過しました。それを見て驚きましたか?
ジュリー・インクスター
「いいえ、全く驚きではないです。でも、トム・ワトソンのプレーは私のそれとは比べものにならないほど高いレベルです。ただ、彼はゴルフを愛しているからプレーを続けています。彼はプレーを続ける必要はないのです。分かります?彼は試合で競うことが好きだからプレーをしているのであり、ショットを打ち続けたいから出続けるのです。
「トム・ワトソンやシニアツアーでプレーしている選手たちは、ゴルフを本当に愛しているんだな、って思うんです。トム・ワトソンが60歳になったからといってクラブを置くなんてことはないです。それは単なる『年齢』でしかなくて、数字にすぎないんです。競技に出場し続けることが好きで、楽しんでいれば、それだけでいいんじゃないですか?若い選手たちも、彼(ワトソン)を尊敬していて、これまでの彼の功績やゴルフのためにしてきたことも、そしてゴルフを愛す姿も尊敬していると思います。年配の選手にとって大切なのは、スポンサー云々ではないんです。勝星の数でもないんです。全てはゴルフというスポーツとどう付き合っていきたいかなんだと思います。若い選手たちはワトソンからそういう側面を学んでいるんだと思います。彼はゴルフを愛しているからプレーしている。若い世代の人たちには良いお手本になっていると思います」
Q:では、LPGAではあなたがそういう風に見られているのですか?
ジュリー・インクスター
「そうですね、自分では分かりませんが。たぶん皆は私のことを狂人だと思っているんじゃないですか。私は若い選手たちとの本当に気が合うんです。彼女たちとの関係は素晴らしいものです。ある意味、自分の子供ような感覚です。多くは私の娘たちと同じ歳頃ですし。私ここにいて、彼女たちは全く違うところにいる、というような環境ではないです。みんな同じ舞台で同じ条件のもとでプレーをしていて、彼女たちは私に対する敬意もあるでしょうし、私も彼女たちが耐えているトレーニングがどれだけ辛いかも知っていますし、尊敬しています」
Q:最近、出場する時は毎試合勝つという意気込みで向かっているのですか?それともキャリアのピーク時と比べて勝負に対する気持ちは薄れてきているのですか?
ジュリー・インクスター
「そうですね、歳とともにかなり角が取れてきました。昔は家の中にまでゴルフを持ち帰って取り組んでいました。今はそんなことは一切ありません。試合に出場している時はまだ勝てるとは思ってプレーしています。勝てなかったとしても、この世の終わりじゃありませんから。試合で競うのが好きなんです。この歳でどこまでやれるのかを見てみたいのです」
Q:ここにきて再び調子が上がってきていますが、その原因は?
ジュリー・インクスター
「そうですね。パットの調子が上がってきています。いいプレーをするにはパッティングがカギになります。パッティングもそうですが、それに加えてショットも上達しています。自分のゴルフに少しずつ自信を取り戻し始めています」
Q:パッティング上達のために具体的にしていることは?
ジュリー・インクスター
「パッティングの全ては『自信』です。ボールがカップに入るのを見ることです。今はいくつかの練習法に取り組んでいます。ストロークのリズムとボールスピードに気をつけることで楽になります」
Q:年齢のことを繰り返し聞くつもりはありませんが、今日、一時4アンダーでリーダーボードに名前が載っているのを見てどういう気分でした?今年はこの大会がメジャーだということ、また今日はあなたの特別な日であるということでアドレナリンは流れましたか?
ジュリー・インクスター
「そうですね、何て言っていいのやら。昨日と何も変わりませんでした。でも難しいですね・・・私の父が50歳になった時を覚えています。すごく年寄りのような気がしました。私も自分の子供たちに聞きました。『50って歳かな?』と。彼女たちは『歳だけど、お母さんは50歳の人には見えない』って言うんです。それは自分自身が50歳だと感じていないからなのか、50歳相応の振る舞い方をしないからなのかは分かりません。何て言ったらいいのかな・・・。誰かフォローしてもらえませんか」
Q:ステイシー・ルイスも同じことを言っていました。あなたは50歳ではない、みんなに溶け込んでる、と。若いんですね。
ジュリー・インクスター
「そういう風には感じています。そう思い込んでいるだけなのか、思い込もうとしているだけなのかは分かりません。健康ですし、痛いところはどこもありませんし」
Q:50歳ではないと思うのは具体的にはどういうことですか?あなたは若者向けの機器が好きだから誕生日プレゼントにiPadをあげたとか言っている選手もいましたし、ファッションにも敏感があるとも聞いています。
ジュリー・インクスター
「そうなんです。ファッションに敏感であるかは分かりませんが、はい、目新しい小物は好きです。ただ、少し彼女たちの手を借りているのは事実。iPadを立ち上げることすらできなかったからモーガン(プレッセル)に手伝ってもらうんです。でも、嬉しかったです。
「ツアーにいる若い子たちがみんなで私の誕生日にiPadを買ってくれて本当に嬉しかったのですが、今はもう小さくないかもしれませんが、若い娘2人がいてくれて、彼女たちを育ててきた過程で私も若さを保てたのだと思います。一緒に遠征に行くのも楽しいですし、一緒にいる時間を楽しんでいます。彼女たちはショッピングが大好きなんです。私のためにショッピングをしてきてくれるんです。私が自分で買い物に行くことは滅多にありません。彼女たちが選んできてくれて、『とりあえず着てみて』と言われるんです。私を若くしてくれていたのも彼女たちのおかげです。2人が聞いてる音楽も聴きますし。聴きたいからではなく、なんとなくかかっているから。その影響もあるのかもしれません」
Q:この大会をメジャーだと思って戦っていますか?(昨年まではウェグマンズLPGAとして開催。今年からメジャー大会となった)ここで何度もプレーをしたことがあるから、メジャーの舞台だということを忘れてしまうのでは?
ジュリー・インクスター
「この大会はメジャーだと思って臨んでいます。なぜならメジャーではなかった時の成績が本当に酷いからです。ですので、私自身、これは新たな舞台、コースだと思っています。メジャー、メジャーと言い聞かせてます。
「過去の成績を調べてもらえば分かりますが、恐らく私が最も予選落ちをしている大会がこの会場での試合です。なぜかは分かりません。ほとんど木の根元からアプローチしているイメージしかありません。こことそっくりなコースで育ったに、ここの何かが私を苦しめるのです。それが何だか分かりませんが...」
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誕生日プレゼントにiPadはビックリ!?ですね。それだけ周りの若手選手もインクスターのことを知っていて、尊敬しているのでしょう。一年でも長く一緒にプレーをして欲しいという想いも込めているはずです。
一昨年のグレッグ・ノーマン、昨年(そして今年)のトム・ワトソン、フレッド・カプルスといい、大舞台でのベテランたちによるアッと驚くパフォーマンスはここ数年の男子メジャーでのトレンドになっています。若さを保つ秘訣は男女間で差はあると思いますが、今回のインクスターの言葉で分かったのは一番肝心な「ゴルフ愛」は共通項だということ。彼女のような大ベテランが自分の娘と同じ年頃の選手たちと対等に戦っている姿はゴルフの奥深さを改めて思い知られます。
パチパチ。
